インタビュー人物紹介


第三回 株式会社新丸正 
2014年2月

新丸正
ー企業理念
私たちは常に感謝の心を持ち、
お客様に信用され、
喜ばれる商品作りを通して、
会社の発展と、社員ひとりひとりの幸福を実現し、
社会の繁栄に貢献します。

株式会社 新丸正
代表取締役会長 久野匠一 氏
代表取締役社長 久野徳也 氏

 鰹節からその加工品まで
 一貫生産真物で真向勝負しています!



新丸正 Q.昭和10年に「久野商店」として創業、昭和26年に「焼津削節株式会社」を設立。その後、平成2年に社名を「新丸正」に変更されました。
もともとの屋号である「丸正」に、あえて「新」をつけた真意について教えてください。
 会長:時代はバブル絶頂期でした。小渕官房長官が「平成」の新元号を発表したとき、新しい時代の幕開けを感じ、日本全体が高揚感に包まれました。私たちも新しい会社づくりに挑戦しようと、屋号の「丸正」に「新」をつけたんです。これからは下請け業務中心ではなく、開発・製造・販売ができる会社になろうという、決意の表れでもありました。


Q.平成20年には工場直売店「堅魚屋(かたうおや)」をオープンされましたよね。 新丸正
社長:自社で造った鰹節を二次加工して、末端商品として消費者へ販売している会社はほとんどありません。創業79年というと、世間一般では「老舗」と思われがちですが、鰹節業界でいえば、江戸・明治時代からやっているところもあり、当社は最近始めたばかりのひよっこ。逆に、だからこそ新しいことにチャレンジしていかなければならないと思っています。


新丸正 Q.静岡県内のほとんどのスーパーで目にする「駿河ふぶき」(農林水産大臣賞受賞)。その誕生秘話についてお聞かせください。
 社長:各家庭から削り器がなくなった昭和40年代、削り節パックのニーズが一気に高まりました。削り節屋の工場はどこもフル稼働。下請けとして仕事を受けていれば安泰という時代に、創業者である祖父は自社商品をつくろうと「駿河ふぶき」の開発に乗り出しました。本節を手削りしたような削り節をそのままパックにしたいと、その当時にはなかった原材料と削り技術で創り上げた商品です。
私が小学生の頃でした。いよいよ商品が完成して、商品名を何にしようかと話をしていたのを覚えています。ちょうど相撲の若貴兄弟が全盛期で「曙」だとイメージが…などと、そんな話をしていましたね(笑)。


Q.おふたりのチャレンジ精神は、創業者の正作さんから受け継がれているのですね。 新丸正
会長:昭和20年代は、削り節は紙袋に入れて販売していましたが、親父は箱に詰めて売り始めました。要するに「あたらしもの好き」だったんです。この頃から自社商品の製造に着手していたおかげで、市場が一気に広がった昭和50~60年代、その波にスムーズに乗ることができました。細々でしたが、全国の量販店への販路がありました。ただ、亡父も私も息子も、チャレンジ精神は旺盛ですが、お金儲けは下手ですね(笑)。


新丸正  Q.御社の“強み”について教えてください。
 社長:「鰹節屋」でもあることです。もともとは「削り節屋」でしたが、より美味しい商品をお届けしたいという思いから、昭和35年に鰹節そのものの製造も始めました。当社より大きな削り節屋さんや商品企画力が優れている会社は、沢山あります。そこと比べて何が違うかと言われたら、やはり、鰹節からその加工品まで一貫生産をウリにしているところでしょうね。


Q.一貫生産することで、どのようなメリットがありますか? 

新丸正

新丸正
社長:鰹節には「荒節」と「枯節」があります。例えば「荒節」とひと口に言っても、さまざまなノウハウや技術、工夫を凝らすことで、いろいろな特長を出すことができます。当社では各商品に合わせた、鰹節づくりを得意としています。鰹節そのものを造っているからこそできる、味へのこだわり。その分、手間も時間もかかりますが、添加物を一切使わず、真物で真向勝負しています。

会長:魚は生き物ですから、一匹一匹、サイズも脂のノリも違います。いちばん美味しいのは、4.5kgくらいの成熟した鰹。節にしたら800gくらい。原魚の買い付け時から、あの商品に使う鰹はこれだと決めています。鮮度の良い一本釣りじゃないとダメという商品もあるんですよ。

社長:鰹節造りの最大のポイントに「火燃し」と呼ばれる焙乾工程があります。当社では、伝統的な方法で行っていますが、どの部署でも新入社員は「まず、火の中へ入ってこいや」となります(笑)。鰹の頭を切って、煮て、火煙の中に入り作業するという、鰹節の製造工程をひと通り経験してもらいます。

会長:いわゆる「営業マン」がいないのも特長と言えます。というのも、工場で鰹節を造っていた職人が営業の仕事をしているんです。お客さまから「新丸正さんの営業マンはみんな職人。そんな会社、ほかにはないよ」と言われることも。鰹節を知り尽くした叩き上げの職人が売っているわけですから、説得力が違うようですね。


新丸正 Q.今後の夢についてお聞かせください。
 社長: 「だし」という和食文化を、世界に発信していきたい。ずっと前から持ち続けている夢で、今年は5カ年計画の5年目になります。成功と失敗を繰り返しながらも、着実に海外販路を開拓しつつあります。また、和食が世界遺産になったことで、チャンスはますます広がるはずです。もっともっと力を入れていきたいです。

会長:当社だけが生き残っても意味はありません。先人たちが命をかけて育ててきてくれた「焼津鰹節」を全国ブランドとして確立したい。そして、世界に広めていきたいです。儲かれば何でもいいのではなく「焼津鰹節」の産地としての誇りを持ち、その使命を果たしていきたいですね。


Q.最後に…。平成23年4月、社長の椅子を息子さんに譲られました。
   息子さんの社長としての活躍ぶりはいかがですか?
 新丸正
会長:会社設立60年になった年に、会社も還暦になったことだし、そろそろバトンタッチしようやと、息子に社長を譲りました。歯痒くて情けないと思うことも多々ありますが、黙って耐え忍ぶことが、今の私の仕事だと思っています。
ただ、本当にありがたいと思うのは、未熟な社長でも、幹部をはじめ社員たちが彼を慕って相談に来てくれること。社長を一人前にしてやろうと、みんなで団結して支えてくれているのがありがたいですね。



貴重なお話をありがとうございました。今後ますますのご活躍を期待しています。




会社概要

 新丸正 
会社名株式会社 新丸正
住所 〒425-0064
静岡県焼津市三和1384-1
TEL 054-624-5158
URL http://www.s-marusyo.jp/
会社紹介
鰹のまち焼津で「だしに、まじめに、一貫生産」をモットーに、鰹節からその加工品までを一貫生産しているこだわりの鰹節屋。鰹節や削り節をはじめ、無添加だし、つゆ、液体調味料など、家庭用、業務用、食品メーカー用の各種商品を製造販売。


 企業詳細ページ
 http://www.shizuoka-yaizu-shobaihanjo.com/fishery/smarusyo.html




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